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気紛れに書かれる涼宮ハルヒの憂鬱への雑感などなど
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 とりあえず仮、という感じで。
 何かえらくツボに嵌ってしまったので、色々修正してサイトに載せるかもです。
 一ハル性別反転です。



 
 神様なんて信じてない。
 ずっと、そう思っていた。

 
 大型ディスカウントショップの一角、コスプレ系の衣装が並ぶ場所を、私は一人の少年と一緒に歩く。
 彼の名前は涼宮ハルヒ。
 私にとっての災厄の元凶、救いの神。
 矛盾しているようだけれど、その両方である人。
 でも、彼自身はそんなことを知らない。
 彼は自身のことを何も知らず、私が抱える事情も知らない。
 彼を含めた何も知らない人たちから見れば、私達はただの同じ学校に通う高校生同士でしかない。
 私達は、その学校のSOS団という学校内非公式団体の団員同士で有り、彼が団長で私が副団長という関係にある。
「一樹ちゃんはさ、やっぱりみくるちゃんとは違う系統が良いと思うんだよね」
 衣装の中をかき分けるように歩きながら、涼宮さんがそんなことを言う。
 今日は、私と彼だけ。
 何時も他に誰かが居たりするから、これは結構珍しいことかも知れない。
「違う系統、ですか?」
「そうそう、みくるちゃんはどっちかっていうと可愛い系だからさ。二人とも同じ系統じゃつまらないでしょ?」
「そうですねえ……」
 最近、涼宮さんは朝比奈さんだけのコスプレでは飽きてきたらしい。
 勿論その時々によっては私達も巻き込まれるし、涼宮さん自身がコスプレに興じる事もあるんだけれども、そういうことが問題ではないらしい。
 その辺りの理屈はきっと彼の頭の中でしか繋がってないと思うので、私はあまり気にしない事にする。
 どうせ私には、彼に逆らう権利は無い。
 彼に付き合っていると色々とおかしなことに巻き込まれたりもするけれども、高校生活での恥はもう掻き捨てのつもりだ。
 捨てた先がどこなのかは、私も知らないけれども。
「何が良いかなあ。メイドさんが二人っていうのも良いけど……」
「メイドも色々有りますからね。とりあえず試着してみましょうか?」
「うん、そうだね。じゃあ、まずはこれから」
 私の提案に涼宮さんが乗ってきた。
 私は彼に逆らう権利は持っていないけれど、彼を誘導する事は出来る。
 ……あまりにおかしな格好を押し付けられるよりは、朝比奈さんと同じメイドさんの方が無難だろう。
 引き算を引き算で塗りこめるような論理のどこに発展性があるのか知らないが、私の思考はそんな結論を導き出していた。


「うん、これにしよう!」

 何度目かの試着の末、涼宮さんがそう言った。
 その時の私の服装は、シスターだった。
 それは勿論本物ではないけれども、素人目に見ても、過度なアレンジの無い清楚さを感じさせる衣装だった。
「これですか?」
「うん、清楚でいい感じだしね。一樹ちゃんに良く似合っていると思うよ」
「ありがとうございます」
 涼宮さんは嘘を言わない。
 コスプレ衣装だからということを差し引いても、似合うと言ってもらえるのは嬉しいと思う。
 けど、シスターか。
 何となく、思うものが無いわけじゃない。
 でも、それは涼宮さんには言う必要の無いことだ。
「じゃあ、会計済ませちゃお」
 涼宮さんがそう言ったので、私は試着室に戻りシスター服を脱いだ。
 どうやら、私の衣装はこれで決まったらしい。
 メイドさんとは違ったけれども、露出は余り無いし着替えるのが難しいというものでも無さそうなので、これはこれで無難な選択かも知れない。

 今日の用事は買い物だけで、それ以上は何も決まっていない。
 涼宮さんの考える『計画』というのは、大体が詰め込みすみの無茶スケジュールか、大雑把過ぎて何も無いも同然かのどちらかなので、別にこれはおかしいことでもなんでも無い。
 二人で不思議探索に乗り出すなり、このまま解散するなり、好きにすればいい。
 でも、それを決めるのは涼宮さんだ。
 私は誘導した居場所があれば誘導するし意見を求められたら答えるけれども、そうでなければ彼に従うだけ。
 別に、二人で行きたい場所があるわけでも無いし。

「とりあえずご飯食べよっか」

 涼宮さんがそう言ったので、私達は少し遅めの昼食を取ることになった。
 私達はファーストフード店に入り、それぞれ別々に注文をした。
 私はセット物を一つ、涼宮さんはセット物二つに加えてチーズバーガーを単品で7つほど追加している。
 相変わらず、彼は良く食べる。
 体格的には高校生男子の標準くらいというその身体に、どうやったらそれだけの量が収まるのだろう。
「あ、一樹ちゃん、ポテトもう良いの?」
「ええ……、食べきれなくて」
「じゃ、ちょうだい」
 涼宮さんが私の残したポテトを自分のトレイに移す。
 元々、私にはセット物丸々は多すぎる。
 だから予めこうなることを見越して注文しているのだけれども、彼はそれに気づいているんだろうか。
「あ、そうだ、午後はどこか行きたい所ある?」
 8つ目のチーズバーガーに手を伸ばした涼宮さんが、唐突にそんなことを訊ねてきた。
「いえ、特には……」
「ふうん。まあいっか。どっか行こうよ。時間は平気だよね」
「え、ええ……」
 何だろう。
 涼宮さんが……、結果としてどうこうというのはともかくとして、こんな風に私に物を訊ねてきた事が有っただろうか。
 これじゃあ、まるで、
「これってさ、デートみたいだよね。というか、デートかな?」
「……」
「ああ、一樹ちゃんは俺じゃ嫌だったかな?」
「いいえ、寧ろ光栄ですよ」
 話の切り口がおかしい、と思う。
 涼宮さんらしくない、とも思う。
 でも、私は笑顔でこう答えるしかない。
 だって、それが私の立っている場所だから。
 私がこの場所に居る、理由だから。

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