朝比奈みくるの幸福、とらのあなさんで通販再開していますー。
よろしければこちらからどうぞ。
秋葉一号店と横浜店にも入荷しているようです。
オフライン関係はもうちょっとしたらまとめて更新しておきます。今後の予定も書いておこうかな。
続きにひとことへのお返事があります。
皆様何時もありがとうございます!
>14日19時代の方
1on4のような話を読みたかったと言っていただけて嬉しいです。
最近すっかり停滞気味なのですが、今思うと、もしも古泉が女の子だったら、という妄想をストレートに表した分、拙いところも有るとは思いますが、その分自分の萌えに忠実に書けていたのかな、と思っていたりします。
この続きに長らく封印していた1on4の話の一つを置いて有りますので、もしよろしければどうぞ。
ギャルゲー、正確に言うなら恋愛シミュレーションゲームって所だろうか。
今の俺の状況は何となく出来の悪いギャルゲーのようだと谷口に言われたのが、今日の昼休みの事である。
出来の悪い、という言葉が頭についているのが何とも言えないところだが、俺はそれを否定する事が出来なかった。
というよりも、その通りだと感心しても良いかと思ったくらいだね。
言葉には出さなかったが。
「はい、どうぞ」
「あ、ありがとうございます」
俺は朝比奈さんから本日三杯目となるお茶のお代わりを貰い、口をつける。
まだ寒さの残るこの季節、暖かいお茶が心地よい。
そんな風にのんびりお茶を飲んでいる俺の向かいでは、古泉が長考状態に陥っている。
こいつは何で弱いくせにこんなにゲームが好きなんだろうね。
古泉よりも向こう、部屋の端っこでは長門が何時ものように読書中だ。
朝比奈さんは三人分のお茶のお代わりを入れ終わった事を確認し終えると、やりかけだったらしい刺繍を再開した。
ほのぼのとした、午後の風景。
嵐のような団長様がお出かけになっているというのが今日の平穏の一因なわけだが、この平穏が長く続く事はあまりないので、これはやはり嵐の前の静けさというべきだろう。
俺は中々長考状態から帰って来そうに無い対戦相手のことをとりあえず心の脇に起き、谷口に言われた言葉を思い返してみた。
ギャルゲーか……、確かに、これがその手のゲームだとしたらかなり出来が悪い。
いや、出来の良し悪しと言うより、趣味の良し悪しの問題かも知れないな。
何せこのSOS団に揃っている女子四人のうち三人はとびきりをつけても差し支えの無いくらい美少女で、残りの一人も美少女という範疇に入れて差し支えない程度の容姿の持ち主なわけだが、問題は、容姿ではなく彼女等に着いた数々のオプションの方にある。
先ず団長である涼宮ハルヒは人間台風のような規格外じみた人物であり、本人も無自覚の仕組みの良く分からない超パワーの持ち主だ。
次に副団長である古泉一樹はそのハルヒの引き起こす妙な現象に対抗するためだけに使えるという限定的超能力者の持ち主の上、妙な組織の一員という大よそ普通の高校生らしくない肩書きの持ち主と来ている。
でもってこのSOS団唯一とも呼べる癒し系キャラであり、彼女をヒロインと言う立場に置くことに反対する奴が居たら俺はその場でそいつを成敗してやりたいと思えるほどの美貌とスタイル、素直さの持ち主の朝比奈みくるさんその人は、性格的能力的に現代日本人である団長殿や副団長殿よりもよほど一般人のようなのに、未来人というトンデモ設定持ちだ。
最後に一番地味キャラっぽい長門有希だが、長門はそもそも人間ですらない。
各人のことを細かく説明していくともっと長くなるのだが、超パワー持ち変人、超能力者兼秘密組織の一員、余りにもらしくない未来人少女、宇宙人製ヒューマノイド、なんていう吹っ飛んだ設定の持ち主だらけのヒロインばかりのギャルゲーなんてものを作るやつが居たら、俺はそいつをアホだと言いたいね。
こんな濃い設定だらけのヒロインの中から一人選べと言われるゲームが、まともな恋愛シミュレーションになるわけがない。濃い目の設定というのは全員に少しずつ割り振るか、ある程度背負わせるキャラクターを絞らないと意味が無いだろうが。
他メディアならともかく、ゲームって言うのはそういうものだ。
俺自身あまり恋愛シミュレーションというものをやったことは無いのだが、少ない知識を引っ張り出しつつ、俺はぼんやりとそんな事を考えていた。
「……あの、あなたの番ですけど」
何時の間にやら次の手を打ったらしい古泉が、ゲームの事などほったらかしだった俺を現実に呼び戻す。
俺は盤面をちょいと見てから、手持ちの駒を動かした。古泉がちょっと悩んで次の駒を動かした所に、俺が盤面の勝敗を決する一手を打って勝負が終わる。
まあ、何時ものことだ。
「負けちゃいましたね」
古泉が少し悔しそうな顔でそう言って、ゲームを片付け始める。
団長様はやって来ていないが、もう大分日は傾いている。
部屋の隅にいた長門が本を閉じ、俺達はそれぞれに帰宅の準備を始めた。
古泉がハルヒから預かっていたらしい鍵で部室の扉を閉め、メールでハルヒに連絡を入れる。
一体どこへ行っているんだと思ったが、どうせ聞いても誤魔化されそうなので俺はその質問を口に出す事は無かった。
SOS団は帰宅のときは全員で坂を下るのが習慣と化していたが、今日はハルヒが居ないので前で古泉と朝比奈さんが仲良く会話しているのを俺がぼんやり後ろから見ていて、その隣に長門が居るという構図になっていた。
会話する相手も居なかった俺は、谷口に言われたことをまた思い出していた。
ギャルゲーか。
その手のゲームの主人公達が一体どういう感情を持っているという位置付けなのかは俺にも分からないが、現実に美少女に囲まれている俺が言えるのは、そんな状況は別に嬉しいものではないってことではないくらいだ。
SOS団で過ごす日々を楽しいと言えるようになった今の俺から見ても、この男女比の偏った団体そのものが是か非かと問われると、ちょっと回答に困る。
日々綺麗な女の子に囲まれるのは確かに幸せな事かも知れないが、自分がそれに釣り合うものを持っていると思えなければ、惨めとまでは言わないが、まあ、あんまりそれに乗っかって何かしようとも思えないさ。
何せ4人が4人とも俺の手には余りそうな容姿と設定の持ち主だからな。
正直、女の子達のスペックの高さに対してしんどいと思う時だってある。
こんなことを誰かに言ったって呆れるか羨ましいと思われるだけだから誰にも言うつもりは無いが、こういう悩みを共有出来る相手が居ればと思うことが無いわけじゃない。
中学の頃の俺から見たらきっと贅沢な悩みなんだろうなと思いながら、俺は空を仰いだ。
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