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気紛れに書かれる涼宮ハルヒの憂鬱への雑感などなど
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 これも古みくSS
 今夜はフィーバー中なのです。



 わたしは、どうしたら良いんでしょうね。
 それともわたしは……、わたしには、どうにも出来ませんか?


 とある日の放課後、わたしはひとりで部室に居ました。
 下の学年の人達は用事が有るので、今日はわたしだけ。
 本当は、来なくても良かったんですけど……、来ちゃいました。
 だって……、一人で、やりたいことが有ったから。
「ふふっ……」
 わたしは制服のまま、何時もなら他の人が座っているパイプ椅子に腰を下ろします。
 ここは、古泉くんの席ですね。
「えへ……」
 別に何をする、と言うわけでも無いんです。
 ただ、わたしはここに座りたかったから……、今日は、それだけです。
 どうして、何て訊かれても、わたしには答えられません。
 だってそれは……、わたしにとっては、いけないことだから。
 わたしが、言えないことだから。


「あ、みくるちゃん」
 そろそろ良いかなと思って帰ろうと思ったら、下駄箱のところで涼宮さん達と出会いました。わたし以外のSOS団のみんなが、全員揃っています。
「どうしたの、今日は帰って良いって言っていたのに」
「あ、いえ、昨日忘れ物をしちゃって……、部室で探していたんです」
 涼宮さんの質問に、わたしは何とか言い訳を探して答えます。
「ふうん……、ドジねえ。まあ良いわ、萌え担当のメイドさんには、ドジっ娘要素も必要だものね」
 涼宮さんは、わたしの嘘を信じてくれたようです。
 後ろに居る三人は……、誰一人として、信じてくれてないみたいなんですけど。


 それからわたし達は、全員で坂を下ることになりました。
 珍しくも無い、何時も通りの光景です。
 今日は涼宮さんが何か思いついたのか、男の子二人を両脇に添えて、先頭を歩いています。性別が逆ですけど、なんとなく、両手に花って単語が似合いそうだなあ、なんて思うのは、わたしだけでしょうか。
 わたしは長門さんとちょっと距離を取りつつ、古泉くんの背中を見つめます。
 今日のこと……、多分、わたしが本当に何をしたかには気づかれて無いと思うんですけど、でも、少し、怪しまれちゃったでしょうか。
 古泉くんの目には、わたしはどう映っているんでしょうか。
 守るべき庇護対象ですか?
 うっかり涼宮さんの機嫌を妨げやすい危険人物ですか?
 それとも、その両方ですか? ……或いは、それ以外の何かですか?
 わたしは……、わたしは、自分の目に古泉くんがどう映っているか、ちゃんと知っています。
 でも、駄目なんです。
 わたしには、何も言えないんです。
 それは、許されないことだから。
 ……わたしが、涼宮さんだったら良かったのに。
 我侭で天真爛漫で、何も知らないまま他人を巻き込めるような、強引な人だったら良かったのに。
 そうして、あなたを巻き込めたらよかったのに。
 ……古泉くんは、涼宮さんが好きなんですか?
 違いますよね……。そういうのじゃ、無いんですよね。それは、わたしにも分かりますから。
 でも……、あなたが一番大事なものは、ちゃんと決まっているんですよね。
「どうしたんですか?」
「ひゃいっ」
 ぼんやりと考えていたら、何時の間にか古泉くんがわたしの隣に来ていました。
 び、びっくりしました……。前の方では、涼宮さんが、今度は長門さん相手に何か言ってみるみたいです。
 今度は一体何をするんでしょうか……。
「何かお悩みですか?」
「う、ううん、違うの……。そういうのじゃ、無いんです」
 心配そうな表情を見せる古泉くんに対して、わたしはそっと首を振ります。
 すぐに分かるような、あからさまな嘘
「……そうでしたか」
 でも、古泉くんは……、例えそれが嘘だと気づいていても、わたしには、それ以上何も言ってきません。
 心配している素振りが表面上だけではないのが救いと言えば救いかも知れ無いけれど、それでも、わたしは……、わたしは、あなたの一番では無いんですよね。
 そう、わたしは……、わたしは、あなたを捕らえて放さない、あの大輪の花のような少女のようには、決してなれないんです。
 わたしはただ、あなたの傍らで、微笑むこと……、わたしに出来るのは、本当に、ただそれだけなんです。
 わたしを心配してくれる、優しいあなた。
 彼女のためならわたしなんて切り捨ててしまえる、残酷なあなた。
 どちらも、本当のあなたの姿。
「……」
 わたしは無言のまま、涼宮さんの背中を眺めます。
 彼女は……、何も知らないんです。自分がどれだけ残酷なことをしているかということを。
 わたしは、彼女が許せないんでしょうか。
 それとも、彼女を哀れんでいるのでしょうか。
 ……それは、わたしにも分かりません。
 ただ、わたしは……、彼女が居なければ出会えなかった人が居ることを知りながらも、心のどこかで、彼女を否定しているんです。
 駄目ですね、わたし……、こんなこと、考えちゃいけないのに。

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