ドンットスタートイット 09（古キョン古？ 古キョン？）

　教室、ハルヒとキョン、キョンと国木田
　この話をキョン古にするのは難しいだろうなあと思えてきました。

 

「ちょっとキョン、あんた古泉くんと手をつないで登校したって本当？」
　教室に入った途端、ハルヒが凄い勢いで俺のもとまでやって来た。あまりのでかい声に、教室に居た連中全員の視線が俺に集中する。
「ああ」
「……どういう風の吹き回しなの、それ？」
　勢いよくやって来たもののそれ以上のことを考えていなかったのか、ハルヒが怪訝そうな表情になる。
「さあな、あいつに聞いてくれ」
「ちょ、何よそれ……」
　脇を通りぬけて行く俺の背中にハルヒの声がかかるが、暫く無視していたら、黙ってしまった。
　良いわよ、あとで古泉くんに聞くから、という呟きが聞こえる。
　そう思うなら最初からそうしてくれ、と言いたいね。言わないが。
　それからホームルームが何事もなく過ぎて、一時限目も終わった辺りで、ハルヒが教室から出て行った。古泉に会いに行ったのだということは確かめなくても分かる。
「……良いの？」
　単語だけの国木田の質問が具体的に何を指示しているのかが、俺には分からない。
　ハルヒのこと、というのは分かるが、なぜそれを俺に訊く。
「んー、キョンが気づいてないなら良いや」
　何だよそれ。
　訳が分からん……、別に、分かりたくもないけどさ。